AIを学ぶ

AIティーディング キッズ:おして確かめる子どものAI学習

9〜10歳の子どもたちがキーボードを使わず、おす操作だけでAIが絵やお話、曲を作る仕組みを学びます。保護者や先生方向けのアドバイスとともに「AIティーディング キッズ」をご案内します。

約10分で読めます

「AIが絵を描いてくれるんだって!」

最近では、大人がAIについて何か話すよりも先に、子どもたちがこうした言葉を耳にすることが増えています。では、私たちは子どもたちに次に何を伝えればよいのでしょうか。「AIは危険だから、使っちゃダメ」とだけ言って終わらせてしまいたくなるかもしれません。しかし、AIティーディング キッズの「おとなの方・先生方へ」のページには、はっきりとこう書かれています。危険だとだけ伝えると、子どもたちは大人の見ていないところで使ってしまう、と。

そこで私たちは、子どもたちがおして確かめることでAIが何なのかを知ることができる場所を作りました。今日は最初の絵から最後のきまりカードまで、AIティーディング キッズを一緒に見ていきましょう。🎨

AIティーディング キッズとは?

AIティーディング キッズのトップページ:「AIって なに? おして たしかめて みよう。」

AIティーディング キッズは、ウェブブラウザで開ける9〜10歳向けの子どものAI学習サイトです。トップページには、「AIって なに?」というひとつの問いかけと、「おして たしかめて みよう。」というひとつの案内だけが書かれています。

サイトの構成は次のようになっています。

  • 1章が1ページ。 お話と体験のコーナーが同じページにあります。少し読み、その場ですぐに試して、また読み進めることができます。
  • 1ページにつき1つの体験コーナーがあり、それぞれ3〜4つのステップで進みます。じっくり取り組んでも、1ページあたり5〜10分ほどです。
  • おす、ドラッグする、スライドする操作だけ。 キーボードでの文字入力は一切なく、会員登録やログインも不要で、カメラやマイクも使用しません。

各ページは3つの部に分かれています。

サイト上の名前何をするの?
1つくって くれるAIが えも おはなしも うたも つくって くれます
2どうやって つくるのどうやって いるのか なかを あけて みましょう
3どう つかおうきを つける ことと じょうずな つかいかたを みます

1ばんから はじめるをおして順番に進めることも、画面の上に並んでいる番号をタップして好きなところから始めることもできます。

CodingTeading のアプリAIティーディング キッズ押して知るAI9〜10歳 · ひらく →

1ばんを体験してみよう:カードを選んで、絵を描いてもらう

1ばんは「AIが えを かいて くれます」というタイトルです。1ばんを開いて、一緒に進めてみましょう。

1ばんの体験コーナー:「だれを」でピヨ、「どこで」でうみべを選び、うみべにいるピヨの絵が表示されている画面

もう いちど かいてをおすと、腕の形や立っている場所が変わります。こたえを みるをおすと、「まいかい あたらしく つくって いるからです。」と一行で説明してくれます。

「もう いちど かいて」と「こたえを みる」をおした後の画面:「おなじ カードなのに うでも たって いる ばしょも かわります。まいかい あたらしく つくって いるからです。」

これが1ばんの最も大切なポイントです。AIは引き出しから絵を取り出してきているのではありません。これまでどこにも存在しなかった新しいものをその都度作っており、これを「生成(せいせい)」と呼びます。

また、このページはこのマシンに「できないこと」についても正直に伝えています。6人の友達の絵しか見せてもらっていないため、描けるのはその6人だけです。犬や車は一度も見たことがないので描けません。子どもたちは魔法のような面白さだけでなく、AIの限界にも最初のページですぐに出会うことになります。

「ひとつ明かしておくこと」

各ページの下部には、大人の方やもっと深く知りたいお子さんのためにもう すこし ふかくという囲み欄があります。1ばんのその欄には、私たちがとても大切だと考えていることが書かれています。

1ばんの「もう すこし ふかく」の欄:絵はこのマシンが作ったものですが、ボタンをおした瞬間に作られているわけではないという説明

画面上の絵は、商用の画像生成AIなどに頼ることなく、CodingTeadingが自分たちのキャラクターの絵で学習させた小さなモデルが実際に作ったものです。しかし、ボタンをおしたその瞬間に生成しているわけではありません。ブラウザ上でモデルを動かすと1秒以上かかってしまうため、注文ごとにあらかじめ何枚かの絵を引いておき、そのうちの1枚を表示しています。何度もボタンをおしていると、前に見た絵がまた出てくるのはそのためです。

そのことを隠しておくこともできたかもしれません。それでも書いたのは、AIティーディング キッズがひとつのシンプルなルールを守っているからです。それは、あらかじめ準備したものは文章の中できちんと明かすということ。「おとなの方・先生方へ」のページには、すべてを整理した表まで載せています。

「おとなの方・先生方へ」のページにある「何が本物で何をあらかじめ用意したのか」の表

  • 自分たちで学習させたもの:自分たちのキャラクターで学習させた小さなモデルによる絵
  • あらかじめ引いておいたもの:事前にいくつか生成しておいた中から表示される絵
  • その場で計算するもの:音、4ばんのメロディやお話、次の言葉を予想する仕組みなど
  • あらかじめ書いたもの:一問一答の組み合わせなど

この1ばんの解説には、子どもたちからよく出る「本当に人間が描いたんじゃないの?」という疑問に対するヒントも書かれています。モデルは人間が描いた絵から学習したものの、目の前にあるこの絵自体はこれまでどこにも存在しなかったものです。「まねをすること」と「学習すること」は違うということを、言葉にして伝える絶好の機会になります。

第1部の締めくくり:おなじ ことを たのんだのに なぜ ちがう?

4ばんの体験コーナー:同じ注文を2回行い、2つの結果が並んで表示されている画面

4ばんの「おなじ ことを たのんだのに なぜ ちがう?」で第1部は終わります。子どもたちはおなじ ことを 2かい たのむをおし、並んで表示された2つの結果(絵、お話、曲のいずれか)を見比べて、おなじちがうかを判断します。

続いてページでは、AIが引き出しの中に絵をしまっているところを想像してみようと問いかけます。ただ取り出してくるだけだとしたら、腕の位置が少しずつ違う絵を注文ごとに何百枚も用意しておかなければなりません。そんな引き出しは存在しません。AIは探して取ってくるのではなく、その場で作っているのです。

なぜ引き出しの例えなのでしょうか。大人向けの解説によると、子どもたちはAIがどこかに答えを持っていてそれを取り出していると考えがちですが、「同じ注文なのに毎回違う結果が出る」という事実ひとつで、その思い込みをきれいに覆すことができるからです。

また解説では、この仕組みを「確率的生成」と呼び、その表と裏の両面に触れています。毎回新しいものを作れる反面、AIは同じ質問に対して必ず同じ答えを返すとは保証できないということでもあります。子どもたちは後の章で、この点に再び向き合うことになります。

第2部:マシンのなかをあけてみよう

7ばんの体験コーナー:スライダーが途中にあり、「がめん」の枠はまだしみだらけなのに、「よそう」の枠にはすでに絵のようなものが現れている画面

第2部では「どうやって つくるの」を探ります。7ばんの「しみから すこしずつ とりのぞきます」では、1ばんで絵を描いてくれたマシンそのもののなかをあけてみます。

スライダーを左から右へと動かします。がめんの枠はずっとしみのままで見分けがつきませんが、よそうの枠にはすでに絵のような形が浮かび上がってきます。マシンはしみを見て、そこに何があるかを予想し、そうでない部分を取り除いていくのです。おおきく みるをおすと、しみは「がそ(ピクセル)」と呼ばれる色のついた小さな四角の集まりであることがわかります。

サイトではこれを雲に例えて説明しています。自分にはウサギに見えても、友達には船に見える、あの雲です。大人向けの解説では、単に「しみを取り除く」という表現ではなく雲の例えを選んだ理由が語られています。しみを取り除くだけと言ってしまうと、最初から絵が下に隠れていたかのような誤解を与えてしまうからです。実際にはそうではなく、毎回予想しながら作り出しているのです。

第3部:子ども自身が選ぶきまり

14ばんの体験コーナー:「たいせつな ことは かならず もう いちど たしかめる」など、3つのきまりが選ばれている画面

第3部では気をつけることについて学びますが、「AIは危険だ」と言って終わるわけではありません。締めくくりとなる14ばんの「わたしの AIの きまり」では、子どもたちが自分自身のきまりを決めます。

まず、いくつかの作業を「AIにまかせる」か「じぶんでやる」かに仕分けします。次に、すべて正しいことが書かれたきまりの候補を読み、3つだけを選びます。選んだ3つのきまりは1枚のきまりカードになり、えとして ほぞんするをおして机の前に貼っておくことができます。

大人向けの解説には、こうした設計にした理由が書かれています。

  • 子ども自身がきまりを選ぶ理由は、「禁止のリストは大人が見ていないときに崩れますが、自分で選んだ規則は残ります。」からです。
  • 3つだけにする理由は、どれも正しいきまりだからこそ、何を削るかを子ども自身が判断しなければならないからです。その判断こそが、この章が求める考える力です。
  • 仕分けで点数をつけない理由は、そもそも正解のない作業がひとつ含まれているためです。マルやバツをつけてしまうと、子どもたちは自分で考えることよりも「正解を当てること」を優先してしまうからです。

保護者の方・先生方へ

AIティーディング キッズには、大人向けに書かれたおとなの方・先生方へというページがあります。短くまとめられており、始める前に読んでおく価値があります。ここでは特に心に留めておきたい点をいくつかご紹介します。

答えを教えてしまっても構いません。 すべての体験コーナーにこたえを みるボタンがついているのには理由があります。答えがわからずに長く悩みすぎると、子どもは学びをやめて離れていってしまいます。答えを見て「あ、そういうことか!」と納得することも立派な学びです。

大人が答えを知っている必要はありません。 一緒におして、一緒に驚くことで、子どもは「大人が知らなかったことを自分が見つけた」という達成感を味わうことができます。

子どもが立ち止まってしまったときのために、ページでは次のようなアドバイスをしています。

こんなときはこうしてみましょう
ボタンをおさずにじっとしている20秒ほど待ってみます。大人が説明を始めると、子どもは「聞く側」になってしまいます
関係ないところばかりおしているそのまま見守ります。おして試すことこそが、このサイトの学び方です
退屈そうにしている次のページに進みましょう。順番通りに進める必要はありません
最初からやり直したがっている体験コーナーの上にあるさいしょからをおします

次はどこへ進もう?

AIティーディング キッズがお子さんに響き、AIが実際には「どのように」見たり、聞いたり、学習したりしているのか疑問を持ち始めたら、次はAI Teading Teensがおすすめです。また、私たちのアプリ全体の案内図はCodingTeadingのご紹介にまとまっています。

次回は、文字がまだ読めないお子さんでも絵のブロックをつなげて自分だけのお話を作れるこどもスクラッチ 2をご紹介します。次回の記事でお会いしましょう!

よくある質問

AIティーディング キッズは何歳向けですか?

9〜10歳のお子さん向けに作られています。おす、ドラッグする、スライドする操作だけで進められるので、キーボードでの入力は一切必要ありません。

アカウントやカメラは必要ですか?

いいえ、不要です。登録やログインは必要なく、カメラやマイクも使用しません。「おとなの方・先生方へ」のページに必要な環境についての説明があります。

子どもがおした瞬間に、AIがその場で絵を描いているのですか?

いいえ、サイト内でもそのように説明しています。画像はCodingTeadingが自分たちで学習させた小さなモデルで作られたものですが、ブラウザ上で動かすと1秒以上かかってしまうため、各注文に対してあらかじめ何枚か引いておいたものの中から1枚を表示しています。

授業で使えますか?

はい、お使いいただけます。「おとなの方・先生方へ」のページでは、第1部(1〜4ばん)だけでも1回分の授業として成立することや、14ばんの最後で子どもたちが保存・印刷できるきまりカードを作成できることを紹介しています。

← 記事一覧へ